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スペインのバスク地方で1920年に創業したエル・カスコ社はクラフトマンシップに溢れるものづくりを続けています。まず姿が良い。鏡面磨きされた金属外装板と黒塗装の外装板が美しい堆肥を見せています。天板には船舶の丸窓のようなのぞき穴があり凝ったメカが鉛筆を削る様子を眺めることができます。この鉛筆削りの回転ハンドル基部にはダイヤルが付いていて、ダイヤルを回すことで鉛筆を削る形状の選択ができるようになっています。これは前世紀の前半には鉛筆が安い品物ではなかったのでなるべく長持ちするようにと、芯のシャープさは諦めて、なるべく芯は削らずに木部だけを削るように配慮した機能だということです。  芯が木部から長く飛び出すので鉛筆をデッサンに使う場合に重宝しそうです。また高級な色鉛筆が早く短くなると残念ですし、カランダッシュ社のパーフェクトペンシルなどは5本入りの定価が9千円ですのでこのような削り方ができるのは嬉しいことでしょう。
万年筆のインクは水に染料が溶かしてあります。時間が経っても染料が沈澱しないように、しかし空気に触れる水面で酸化や窒化などの化学変化を起さないように、万年筆が誕生して以来インクの性能向上のために各メーカーは努力を続けてきました。そのように重要なインクを容れるボトル。吸入しやすく、酸化しにくく、生産性が高く、外観は美しく、その時代時代の流行も取り込んでデザインされています。パピロ21では、非売品ですがそのような古くて温かいデザインの廃番インクボトルを何気なく展示しております。  
世界的なヒット商品となった英国コールズペンカンパニーの 『 YOROPEN 』 シリーズ。 当店のオーナーが米国の文具店を視察した際に、金属製ボディのバージョンを購入して帰りました。筆記具を設計する際の制約をごく単純化すると "持ちやすいグリップ部があること"  " 紙に接して線を引くポイントを備えること " の2点です。その2点の間をどう結ぼうが自由なはずですが、数百年間どの国でも筆記具がまっすぐな棒であった長い歴史がもたらす固定観念のせいか、製造効率や替芯交換便利性などの制約のせいか、ペンといえば直線的な形状が当たり前です。しかしこのYOROPENは鷺( さぎ ) の首から嘴にかけてのように屈折していて普通ではありません。 これは弾丸列車のような疾走感がある 新奇なデザインのインパクトで売るための珍製品かというと、実は人間工学を真剣に突き詰めて開発された製品であるようです。特に左利きの方が一般的な筆記具で書く際には "引いて線を描く" のではなくてペン先を紙に突っ込むように "押して線を描く" ことになって不具合が生じることがありますが、このYOROPENは左利きの方の筆記を快適にする機能を持っているようです。屈折した替え芯の開発だとか、試作開発期間の壁は高かったはずだと思われますので、理想を求める熱意と、決定権者を説得する社内プレゼン能力が生んだ、個性的な製品なのでょう。